どうもChromebookマニアのタケイ(@pcefancom)です。
Chromebookの2021年の出荷台数レポートが、IT専門調査会社「IDC」より出されました。
2019年から大きく成長していたChromebookですが、2021年第4四半期は一転、全世界で63.6%減となったとのこと。
以下、レポートの内容を日本語で解説します。
原因は市場飽和とコロナによる部品不足
原因は主に2つあるようで、1つはChromebook市場の飽和。
IDCのリサーチマネージャーであるJitesh Ubrani氏によると「Chromebookの初期需要の多くは、アメリカやヨーロッパなどの主要市場で飽和しており、これが全体の出荷台数の減速につながっている」と述べています。
結果、市場の飽和を考慮して販売チャネルからの注文が減少し、出荷台数が減っているとのこと。
もう1つがコロナによるパソコン部品不足。
部品不足によりベンダーが高価格のWindows機を優先したため、Chromebookの供給が異常に逼迫。世界規模でChromebookの出荷台数をさらに抑制する結果となった様です。
2021年第4四半期は63.6%減、通年では13.5%増
IDCによると、Chromebookのディストリビューターおよび小売業者への販売台数は、全世界で63.6%減の480万台となったそうです。
以下がその売上のまとめた表となります。
Chromebook上位5社、世界出荷台数、市場シェア、前年同期比成長率、2021年第4四半期
会社 | 4Q21 出荷台数 |
4Q21 シェア |
4Q20 出荷台数 |
4Q20 シェア |
成長率 |
1. Acer Group | 1.3 | 26.3% | 2.2 | 16.8% | -43.3% |
2. Dell Technologies | 1.0 | 20.3% | 2.7 | 20.3% | -63.6% |
3. Lenovo | 0.8 | 16.1% | 2.9 | 22.1% | -73.5% |
4. Samsung | 0.6 | 12.3% | 0.8 | 5.8% | -22.4% |
5. HP Inc. | 0.5 | 9.9% | 3.5 | 26.9% | -86.7% |
Others | 0.7 | 15.2% | 1.1 | 8.1% | -31.8% |
Total | 4.8 | 100.0% | 13.1 | 100.0% | -63.6% |
第4四半期は、すべてのブランドで売り上げが低下しており、トップシェアのAcerのChromebookの出荷台数は130万台で43.3%減、次いでDellが100万台で63.6%減となりました。
Lenovoは73.5%減の20万台、Samsungは22.4%減の60万台出荷となりました。
これまで最大の販売数であったHPは、この四半期の出荷はわずか50万台。1年前の350万台から86.7%も減少しました。
この減少はHPの戦略にもあるようで、HPのエンリケ・ロレスCEOが11月に電話会議で語った2021年10月期第4四半期によると、プロダクトミックスとマージンを平均販売価格の高いPCに舵を切ったということです。
"我々は非常に効果的に両方を管理し、我々が持っているコンポーネントを、会社にとって最も価値が高いと思われるカテゴリに向けて推進しました。"一般的には(商業カテゴリと消費者側のハイエンドを含む)"
です。
ちなみに上位5社に入らなかったその他部門は、31.8%減の70万台とのこと。
とはいえ、2021年後半のChromebookは相対的に崩壊したものの、通年の出荷台数は13.5%増の3700万台となり、プラスに転じました。
通年ではChromebookの出荷台数はアップ
とはいえ通年では、かろうじてDell以外の出荷台数は各社アップしているとのことです。
以下がその内訳。
Chromebook上位5社、世界出荷台数、市場シェア、成長率、2021年暦年
会社 | 4Q21 出荷台数 |
4Q21 シェア |
4Q20 出荷台数 |
4Q20 シェア |
成長率 |
1. HP Inc. | 10.2 | 27.7% | 9.4 | 28.8% | 9.3% |
2. Lenovo | 8.3 | 22.4% | 6.7 | 20.7% | 23.4% |
3. Acer Group | 6.4 | 17.3% | 6.1 | 18.7% | 4.6% |
4. Dell Technologies | 5.4 | 14.6% | 5.7 | 17.5% | -5.2% |
5. Samsung | 3.2 | 8.8% | 1.8 | 5.6% | 77.2% |
Others | 3.4 | 9.2% | 2.8 | 8.7% | 19.5% |
Total | 37.0 | 100.0% | 32.6 | 100.0% | 13.5% |
HPが9.3%増の1020万台でトップ、レノボが23.4%増の830万台、エイサーが4.6%増の640万台、サムソンが77.2%増の320万台となっています。その他は19.5%増の340万台だった。
唯一デルが5.2%減の540万台と減少に転じました。
ちなみにChromebookの出荷台数が第3四半期に減少し、2四半期連続で減少したことは、2011年のデビュー以来、初めてだそうです。
レポートは、市場が10年来のピークに達した可能性を示唆しているとのべて締められていました。
2022年はちょっと落ち着く年なのかも
以上、Chromebookの出荷台数の減少によるニュースでした。
たしかにここ1〜2年のChromebookの伸びはすさまじいものがありましたね。
日本でもGIGAスクール採用もあり大幅に伸びていましたが、来年以降は小康状態にはなりそうです。需要が減ったというよりは、今までが追い風過ぎたという感じもします。
Chromebookマニア的はここでシュリンクせず、第3のOSとしてしっかり定着してくれたらうれしいなと思います。
レポートは英語ですが、各社のシェアや台数もわかりやすく載っているので、是非チェックしてみてください。